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「妖精さんはどこか行きたいところはあるかな」
「環?」
「俺はお化け屋敷に位相差は感じなかった。そしてこの遊園地に入った時、異界に入り込んだと感じた。なら、お化け屋敷というのはお前の勘違いで、この遊園地全てあるいは特定地点に帰り道がある」
「らって。ろこ行く?」
智樹はふぅんと呟き宙空の特定地点を眺めて頷く。環は懐から小さな輝く石を5つばかり出して智樹に持たせた。
「何こえ」
「帰り道が見つかりやすくなる」
「メリーゴーランロいくっれ」
見えない何かの腕を引っ張り、酔っ払った勢いでふらふらしながら馬車に向かう智樹の姿こそが妖精染みている。環はその後をパラパラと小さな石を撒きながらついていく。酔っ払いに回転は厳しかったらしく、案の定智樹は木馬から降りてベンチに突っ伏した。
「らめ、吐く」
「仕方ない奴だな」
環はスタンドでソーダを2つ買って両方とも智樹に渡す。
「妖精は本当に子ろもを取替えゆの?」
「そうだな。1826年にアン・ロシュという人の子が取替えられてな」
「うん」
「4歳のマイケルは話すことも歩くこともできなかった」
「妖精りなったの?」
「それでアンは3回マイケルを風呂で溺死させたんだけど、取替え子だったから無罪になった」
「本物のマイケルは帰っれきたのかな」
「どうかな。世界が隔たると帰ってくるのも大変な時がある」
「そっか。じゃあこの子が妖精の国に帰っても元の子は帰ってこないのかな」
「かもしれないな」
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