Change Ling

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「妖精、妖精の世界というのがあったとしても、そんなにいい場所じゃないと思うぞ。なにせ妖精というものは気まぐれでな。ロクでもない子供の集まりみたいなものだ。だからたいてい醜く争い合うし弱い者いじめも大好きだ」  環は人波に逆らい、人気のありそうなアトラクションを回った。ジェットコースターとか海賊船とか、コーヒーカップとか。回ったと言ってもその近くに寄って色々と確かめただけだけで、乗ってはいない。  そもそも乗る時間はなかった。 「俺は、この遊園地にはちょくちょくくるんだが、仕事以外でアトラクションというものに乗ったことがあるのはさっきのお化け屋敷が始めてなんだよ。まさか智樹と乗るとは思わなかったが」  人気のないアトラクションの周りは既に人影が乏しい。マップを見ながら人がたくさん集まりそうな場所、特に世界がずれていそうな場所にパラパラと石を撒いていく。先程から環は妖精に語りかけていた。手の中の石を見るとその何かは確かについてきてはいるのだろうけれど、何を考えているのかはわからない。  その頃にはすっかり陽の影響は失せ、空は絨毯を敷いたかのような闇に染まって星が瞬いていた。  そうしてぐるりと一回りして、観覧車にたどり着くと、やや回復した智樹が気持ち悪そうに待っていた。どうやらもう1つのソーダも自分で飲んだらしい。 「それにしても一方的に話しかけるというのはどうも性に合わないな。智樹みたいに変な目で見られそうだ」 「環ひろい」 「さて、妖精、結論は出たか」 「結論?」
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