衝立越しの君の声

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「アキ──」  会話のところどころで呼ばれるのは私の──、否。私と同じ、彼の《彼女》の名前。  会話を盗み聞いていたわけじゃない。  ただ、衝立越しに響いてくる柔らかな音が心地よくて。癒しの音楽みたいで。  気がつくと私は、隣人の奏でる柔らかな低いメロディに身を任せるように、瞼を閉じていた。
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