3 キミの笑顔を

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昼休みに、四階で。 それは、八神くんの周りで起きている「不思議なこと」が解決するまで続くのかな。 だとしたら、あの女の子の霊をどうにかしない限り、ずっとこのまま……? 「ねえ、結木さん。八神くんとほんとに付きあってるの?」 すると、クルッとこちらをふりかえった花本さんが、興味津々といった様子で話しかけてきた。 「えっ⁉︎ ち、ちがうよ。そんなわけない!」 「そうなんだぁ。でも、仲よさそうだよね。」 花本さんはニコニコ笑っているけど、興味があるのはわたし自身なのかな。 それとも……。 「仲がいいわけじゃないよ。ただ、話しかけてくれるから話すだけで。」 そう、相談してもらってるから、それに答えているだけ。 自分で言った言葉なのに、なぜだか胸の奥がチクッと痛んだ。 昼休み、こっそりと人気のない四階へ来ると、屋上へ続く階段の前に座った八神くんが手招きをした。 もちろん、屋上のとびらのカギはしまっている。 「なんかごめんな、ヘンなウワサばっかりで。聞いてきた男友達には違うって言っておいたから。」 「ううん、わたしは大丈夫だけど……。」 わたしより少し背が高い、八神くんの顔を見上げる。 気のせいかな。 なんだか少し、疲れて見える。 目の下にはクマができてるし、顔色だって良くない。 「……なにか、あった? 大丈夫?」 そう聞くと、八神くんはおどろいた表情を浮かべた。 そして、小さくため息をついて、 「昨日とか、すげー暑かったじゃん? なのに俺、なんか寒くてぜんぜん眠れなかったんだ。」 って、言った。 その言葉どおり、昨日はずっとむし暑かった。 まだ春なのに、長袖のパジャマで汗をかくぐらいだったんだ。 それなのに、八神くんは眠れないほど寒かったらしい。 「……八神くん。」 「ん?」 「あの、その……。」 『八神くんに、女の子の霊がとりついているかもしれないんだ』 そう言いかけて、口を閉じる。 だって、伝えたところでなにもしてあげられない。 それに、昨日のはわたしの見まちがい、っていう可能性もある……よね?
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