3 キミの笑顔を

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八神くんの前でなら、素直な気持ちで話すことができる。  ちょっとずつ、他の人ともリラックスして話せるようになりたいな。  今のわたしならがんばれる、そんな気がするんだ。  ちょっとだけ照れくさいようなふんいきになって、二人とも無言になる。  ぱちっと目が合って、今までよりドキッとした、そのとき。 『ガタンッ』  ……屋上へのとびらが、きゅうに大きな音を立てる。 「びっ、くりした〜。風かな?」 「た、たぶん……。」  今日の天気は気持ちいいぐらいの晴れで、ポカポカあたたかくて。  音がなったのも、その一回きり。  ぶあつい鉄のとびらを揺らすような風が吹くなんて、思えない。  もしかして、これ……。  考えたしゅんかん、パタパタと階段を降りていくような気配がして––––。 「……八神くん、ごめん! 先に教室もどってて!」 「えっ⁉︎ お、おい!」  わたしは思わず、そこからかけ出していた。  だって、これは「チャンス」だって思ったから。  八神くんにはずっと、笑っててほしいって思うから……。 「ま、待って!」  呼びかけると、足音の持ち主はピタリと止まる。  そして、すごくびっくりしたような顔で、ふり返った。  ……その目はきっと、「自分のことが見えるの?」と言っている。  きんちょうしながらも、『彼女』の顔をまっすぐ見ながら聞いた。 「……あなたは、だれなの……?」
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