4 はじめての出会い

1/6
前へ
/68ページ
次へ

4 はじめての出会い

わたしは今まで、人間の幽霊と話したことがない。 だから本当は怖いけど……精いっぱいの勇気をふりしぼった。 だって、八神くんの悩みを解決できるのはきっと、……わたしだけだから。 『彼女』の最初の一言は、想像していた通りのものだった。 「……あなた、わたしのことが見えるの⁉︎」 口元に手をあててこっちを見ている彼女は、目が飛び出ちゃいそうなくらいびっくりしてる。 そりゃあそうだよね。フツーの人は、幽霊なんて見えないもん。 おそるおそるうなずくと、後ろに光が見えそうなぐらいまぶしい笑顔になる。 「うれしい! 今まで、そんな人に会ったことなかったから……ほんとにうれしい!」 「えっ⁉︎ わっ……。」 いきなり近づいてきた幽霊の女の子に、ぎゅっと手をにぎられて……わたしのほうがびっくり! おどろく気持ちはわかるけど……テ、テンション高くない⁉︎ 「手をにぎられた」とは言っても、実際には触れられず、ひんやり冷たい空気を感じるだけ。 でも、たしかに「彼女」はここにいる。 不思議だけど、そう思った。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加