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「わたし、ミナミっていうんだ。あなたは……。」
「あ、わたしは、結木玲那です。」
「あはは、敬語やめよう? たぶん、同じ歳だし。」
同じ歳。
彼女……ミナミちゃんも、小学六年生っていうこと?
ショートカットが似合う、キラキラとした笑顔の彼女は、同級生にしては少し幼く見えた。初対面の人に敬語を使っちゃうのは、人見知りなわたしのクセみたいなものだ。
「レナちゃん、わたしみたいなのが見えるんだね。すごいね。」
「すごくなんかないよ。ミナミちゃんみたいな人間の幽霊をこんなにハッキリ見たのは、はじめてだし。」
「幽霊……。」
そうつぶやいたミナミちゃんが、ちょっとだけ悲しそうにうつむく。
……今のは、無神経だったよね。
「ご、ごめん。そんなつもりはなくて……。」
あわててあやまると、ミナミちゃんはパッと顔をあげてまた笑った。
「ううん。自分が幽霊になってるなんて、前からわかってたことなのに。わたしこそごめん。」
「ミナミちゃん……。」
「わたし、レナちゃんに気づいてもらえてすごくうれしいんだ。だれかとおしゃべりするのなんて、久しぶり。」
もしかしたら、幽霊になってからずっと、一人でさまよっていたのかな。
だれにも気づいてもらえず、ひとりぼっちで……。
そう思ったら、胸の奥がチクッとする。
さっきまでは、「八神くんのために」って考えていたけど。
今は、「ミナミちゃんのためにできることはないかな」って思ってる。
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