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「なんか最近、背中とか肩が重いんだよね。頭も痛いし。」
「え……」
「しかも、なんもないところでつまずいたり、引っぱられてるような感じがしたり。これってやばくない?」
そう言って彼は、眉をひそめる。
つまり、身のまわりで起きている不思議な現象が「霊のしわざ」なんじゃないかって心配してるみたい。
……つまづいたり、引っぱられたりっていうのは、たしかにあやしい。
でも……。
「霊の可能性もあるかもしれないけど……わたしはただ『見える』だけだから。助けてって言われても、なにもできないよ。」
さっきのネコへの対応を見てたらわかると思う。
霊を「はらえない」わたしでは、力にはなれない。
そう伝えても、八神くんは前むきだった。
「それでもさ、原因がわかったら何か変わるかもしれないじゃん?」
「そう、かなぁ……。」
「うん。とにかく、俺が今たよれるのは結木さんしかいないんだ。」
真剣な表情でそんなことを言われて、ドキッとしちゃう。
男子に……だれかにこんなに必要としてもらったのなんて、はじめてだから。
けっきょく、強くことわれなくてうなずいちゃった。
「ありがとう。面倒かけるかもしれないけど、これからよろしく!」
笑顔で差しだされた手を、とまどいながら握る。
……八神くんにヒミツがバレちゃった、この日から。
わたしと彼の、フシギな関係が、はじまったんだ。
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