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2 校内散策と、白い手
次の日。
おそるおそる学校に行くと、教室の様子はいつも通りだった。
とくに仲のいい友だちなんていない、地味でユーレイみたいなわたし。
ちょっとさみしいけど、自分からみんなにあいさつする勇気もでない。
ウワサのせいでどうせ怖がられちゃうし、しかたないよね……。
そう思いながら、窓際のいちばん後ろ、自分の席についたとき。
「おはよう、結木さん。」
「‼︎」
あたりまえ、って感じで話しかけてきたのは……八神くん!
その瞬間、クラス中……とくに女子の視線が、こっちに集まったのがわかった。
「ちょ、ちょっと、八神くんっ。」
「ん? てか、おはようってば。」
「お、おはよう……。」
小さな声であいさつを返すと、八神くんは「よし」と言って笑った。
昨日、はじめてたくさん話して、わかったこと。
八神くんって、やさしいけど、けっこうゴーインなんだ。
「昼休み。昨日の約束、よろしくね。」
「う、うん……。」
やがてチャイムが鳴って、先生が入ってくる。
自分の席にもどっていく八神くんの後ろ姿を見ながら、昨日の別れぎわに言われたことを思い出していた。
『とにかく、その不思議な現象を見てもらったほうが早いと思うんだ。昼休み、いっしょにすごせないかな。』
……八神くんの言っていることはわかる。
なるべく近くにいたほうが、霊のしわざかどうか判断できるもんね。
で、でも……男子と二人きりで昼休みをすごすなんて。
わたしには、ハードルが高すぎる……!
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