2 校内散策と、白い手

1/5
前へ
/68ページ
次へ

2 校内散策と、白い手

次の日。 おそるおそる学校に行くと、教室の様子はいつも通りだった。 とくに仲のいい友だちなんていない、地味でユーレイみたいなわたし。 ちょっとさみしいけど、自分からみんなにあいさつする勇気もでない。 ウワサのせいでどうせ怖がられちゃうし、しかたないよね……。 そう思いながら、窓際のいちばん後ろ、自分の席についたとき。 「おはよう、結木さん。」 「‼︎」 あたりまえ、って感じで話しかけてきたのは……八神くん! その瞬間、クラス中……とくに女子の視線が、こっちに集まったのがわかった。 「ちょ、ちょっと、八神くんっ。」 「ん? てか、おはようってば。」 「お、おはよう……。」 小さな声であいさつを返すと、八神くんは「よし」と言って笑った。 昨日、はじめてたくさん話して、わかったこと。 八神くんって、やさしいけど、けっこうゴーインなんだ。 「昼休み。昨日の約束、よろしくね。」 「う、うん……。」 やがてチャイムが鳴って、先生が入ってくる。 自分の席にもどっていく八神くんの後ろ姿を見ながら、昨日の別れぎわに言われたことを思い出していた。 『とにかく、その不思議な現象を見てもらったほうが早いと思うんだ。昼休み、いっしょにすごせないかな。』  ……八神くんの言っていることはわかる。  なるべく近くにいたほうが、霊のしわざかどうか判断できるもんね。  で、でも……男子と二人きりで昼休みをすごすなんて。  わたしには、ハードルが高すぎる……!
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加