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「教室でもそんぐらい、しゃべればいいのに。俺、結木さんと話すの、楽しいなって思ったよ。」
……そう言って八神くんは、ニッと笑う。
心臓が勝手に、ドクンと鳴った。
どうしよう。さっきから優しいことばっかり言われて、意識しちゃうよ……。
「わ、わたしも……。」
八神くんと話すの、楽しい。
言いかけたところで、昼休み終了のチャイムがなった。
「あー、何も起きなかったね。ごめん。でも、本当なんだよなー。」
「う、うたがってないよ。」
「ありがと。教室、もどろっか。」
八神くんは、みんなに優しい人。
それに今は、霊のことを相談してもらってるからいっしょにいるだけ。
なのにわたしは、まだ昼休みが終わらなきゃいいのに、なんて思ってしまうんだ。
「結木さん? 先行くよ?」
わたしより早く、階段を半分までおりた八神くんがこっちをふりかえる。
そのとき、八神くんの後ろに……白い手が見えた。
「! 八神くんっ!」
とっさに手をのばすけど、間に合わない。
八神くんの体が、かたむいて……。
パシッ!
「っ! あぶねー……。」
ふらっと落ちていく、と思った瞬間、八神くんは階段の手すりをつかんだみたいで。
どうにか階段からは落ちずにすんだ。
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