2 校内散策と、白い手

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「教室でもそんぐらい、しゃべればいいのに。俺、結木さんと話すの、楽しいなって思ったよ。」 ……そう言って八神くんは、ニッと笑う。 心臓が勝手に、ドクンと鳴った。 どうしよう。さっきから優しいことばっかり言われて、意識しちゃうよ……。 「わ、わたしも……。」 八神くんと話すの、楽しい。 言いかけたところで、昼休み終了のチャイムがなった。 「あー、何も起きなかったね。ごめん。でも、本当なんだよなー。」 「う、うたがってないよ。」 「ありがと。教室、もどろっか。」 八神くんは、みんなに優しい人。 それに今は、霊のことを相談してもらってるからいっしょにいるだけ。 なのにわたしは、まだ昼休みが終わらなきゃいいのに、なんて思ってしまうんだ。 「結木さん? 先行くよ?」 わたしより早く、階段を半分までおりた八神くんがこっちをふりかえる。 そのとき、八神くんの後ろに……白い手が見えた。 「! 八神くんっ!」 とっさに手をのばすけど、間に合わない。 八神くんの体が、かたむいて……。 パシッ! 「っ! あぶねー……。」 ふらっと落ちていく、と思った瞬間、八神くんは階段の手すりをつかんだみたいで。 どうにか階段からは落ちずにすんだ。
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