1人が本棚に入れています
本棚に追加
「だ、大丈夫⁉︎」
「はは……さすがにちょっと、ヤバかったかも。ハンシャシンケー? みたいなの、役に立ったのかな。」
なんでもないように笑っているけど、さすがにその口もとは引きつっている。
おでこには、汗もにじんでいた。
「八神くん、今の……。」
「そう、なんか後ろから引っぱられた感じしたんだ! 見てたでしょ?」
「う、うん。」
具合が悪くてめまいがしたとか、不注意で足をすべらせたとか。
そういう落ちかたじゃなかったのは、見ていてわかった。
それに……。
「もしユーレイのしわざだったら、俺にうらみでもあんのかなぁ……。」
「ど、どうだろう……。」
どこか不安げな表情の八神くんには、言えなかった。
落ちる瞬間、八神くんの後ろに白い手が見えたこと。
そして……そのあとすぐ、わたしたちと同じぐらいの背たけの女の子の影が、スーッと消えていったこと、なんて。
最初のコメントを投稿しよう!