3 キミの笑顔を

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3 キミの笑顔を

八神くんは、本当に幽霊にとりつかれてるのかもしれない。 しかも、人間の女の子の幽霊。 ……どうしよう。 わたし、人間の霊を追いはらったことなんてないよ……! 解決策がないまま話しても、こわがらせちゃうだけだ。 でも、このまま見て見ぬフリもできないし……。 どうすればいいかわからなくて悩みながらむかえた次の日。 学校には、さらなる悩みのタネが生まれていた。 『八神くんと結木玲那が二人きりでろう下を歩いていた』 そんなウワサが、どこからか広まっちゃったみたいで。 休み時間にトイレに行ったら、となりのクラスの子たちにチラチラ見られた。 もちろん、教室の中でもみんな、なにか聞きたそうな感じでわたしと八神くんのことを見てる。 ……五年生になったぐらいから、みんな「男子」と「女子」を意識しはじめた。 みんないっしょになってドッジボールをやることはなくなったし、仲が良い男女はすぐ「好き」だとか「付きあってる」だなんてウワサのマトになる。 とは言っても、そんなウワサをされるのはクラスの中でも目立つ方の人たちだから、わたしが実際に体験したわけじゃないけどね。 でも今は、そのウワサの真ん中に自分がいるからヘンな感じ。 わたしなんかとカップルあつかいされたら、八神くんだってきっと迷惑だよね……。 トイレからもどると、机の上に置きっぱなしにしていたノートの下に、いつの間にか紙切れがはさまっていて。 そこには少し雑な字で『また昼休みに四階で』とだけ書いてある。 パッと顔を上げて八神くんのほうを見ると、口パクで「よ ろ し く」と言ったのがわかった。 わたしはうつむいて、赤くなってると思う顔をかくす。 こんなの、意識するなって言うほうがむずかしいよ……。
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