記憶の残り香①

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 お面と鐘は質に入れられていたらしく、長い間所在不明となっていた。依頼を受けて、ミコトさんが見つけてきたようだ。 「ねえねえ、アカガイ、見つけに行こうよ」  ハルカちゃんが、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、彼の服を引っ張った。 「いや、見つけに行くと言っても、条件があるからね。まず、星が見える高い場所じゃないといけないし。今から行くのは……」 「ふふふ、そういうことなら、お任せ下さい。ここは魔法店ですからね」  マナが腰に手を当てて胸を張るので、わたしはため息をついた。 「マナ、ミコトさんに待ってるようにって言われてるでしょ」 「大丈夫だよ、書き置きしとけば」  そう言って、マナはテーブルの上のメモに走り書きをした。   石橋様がいらっしゃいましたので   少し接待をして参ります                マナ 「接待って」 「魔法体験は接待の内でしょ。いいからいいから」  マナは強引にわたしたちを近くに集めると、瞬間移動の魔法を発動した。
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