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「わあ、可愛い。ミコトさんのお店の方ですね?」
料理に目移りしていると、ハルカちゃんを見つけた若い女性が声をかけてきた。落ち着いた水色のドレスを着た、ショートボブの女性。二十代だと思うが、髪型に加えて目が大きくて童顔なので、高校生ぐらいに見えなくもない。
「わたしは関東第二支店の店主、ユカリといいます」
彼女は丁寧に頭を下げてきたので、わたしたちも自己紹介した。
「あなたがアヤさんですか。ミコトさんから聞いています。凄い逸材を見つけたって」
ユカリさんはそう言って、わたしの顔をまじまじと見た。
「それ、本当にわたしの事ですか?」
わたしはミコトさんに評価されているのだろうか。少なくとも、わたし自身にはそういう印象はなかった。
「そのうち、店主を任せてもいいって仰ってましたよ」
わたしが魔法店の店主をやるなんて、考えた事もなかった。わたしは代価を払うために働いているに過ぎないのだから。
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