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改めて会場にいる人達を眺めてみる。何も知らなければ、普通のパーティにしか見えない。
「ここにいる人たちは、皆さん魔法を使えるんですよね」
「ええ、ミコトさんと長期的な契約をすることが、従業員の条件ですからね」
「……ミコトさんと、というのは?」
わたしはユカリさんの表現が少し引っかかった。
「あれ? 契約書にサインされたんですよね?」
確かに、わたしも代価と引き換えに魔法を使う契約をした。
契約書に書いてあったのは、魔法を使うための条件や代価のこと。二百日相当の労働を対価に、治癒の魔法を行使できるようになること。納得した上で、わたしに続いてミコトさんもサインをした。
「次の者との契約を結ぶものとする。契約書にはそう書いてあったはずですよ。唯一の魔導師であるミコトさんに、魔法を使う許可を頂くということです」
わたしは混乱してきた。つまり、魔導師とは本来はミコトさん一人しかおらず、ここにいる人達は、ミコトさんに魔法を使わせてもらっているに過ぎないと。
「ミコトさんは、あなたに跡を継いでもらいたいみたいですよ。アヤさんは、次代の魔導師候補ですね」
ユカリさんはそう言って、にっこり微笑んだ。
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