ここから先は「大人同士」

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「「……あ」」  俺が遅いのか向こうが早いのか、佑真に話を聞いてもらったその日の夜、俺はアパートの入口で帰ったばかりらしい姉とばったり対面した。  手に持った紙袋を握り直す。  なんとなく遠慮し合いながら二人、中に入った。 「……千晶ちゃん」  俺はくすぐったい勇気を振り絞って、話を切りだした。 「何?」 「……俺、うちで過ごす時間長いし、鑑賞に夢中になってると家のこととか、それどころじゃなくなる。でもそれ、代わりに全部やってもらって当たり前とか、世話してもらってるって思ってるわけじゃなくて。本当、こっちはこっちで放っておいてくれていいんだよね……。逆に俺も千晶ちゃんのやってることにも口出しや文句言わないし、家事も自分の分、できるし。あと、バイトくらい、探すから。生活費もそうだけど、生で舞台観に行くにもお金、いるし」  姉はぽかんとした表情で俺の話を聞いてた。 「えっと……だから――」 「そっかー」
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