幼なじみ

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幼なじみ

 ボクの名前は、はやしひろし。  大きな林と書いて、林大(はやしひろし)。小学校五年生だ。  簡単で覚えやすい名前だけど、あんまり好きじゃない。だって何かが足りない気がするんだもん。  ボクには天敵がいる。名前は、もりみどり。緑の森で、森緑(もりみどり)。ボクと同じく漢字二文字。だけど、彼女の場合は、あまりヘンじゃない。それは何故だろう? なんだかズルイ気がする。  みどりちゃんは、となりの家に住んでいる幼馴染みだ。親同士の仲が良いから生まれた時からずっと一緒に育ってきた。小学校も、幼稚園も、その前から、ずっーと、ずーっと。  ボクは、彼女の事を、みどりちゃん、と呼んでいる。  みどりちゃんは、ボクの事を、ひろし、と呼び捨てにする。  幼稚園の頃、みどり、と呼び捨てにしたら、こっぴどく叱られた。 「わたしは、パパにもママにも、みどりちゃん、と呼ばれているの。だから、ひろしも、みどりちゃん、と呼びなさい!」  みどりちゃんの言い分はこうだった。  だからボクは言ったんだ。 「だったらボクの事も、ひろしくん、と呼んでよ!」、って。  そうしたら、みどりちゃんは言った。 「ひろしは、ひろしパパや、ひろしママから、ひろし、って呼び捨てにされてるんだから、ひろし、でいいの!」、だって。  何だか納得がいかない。  みどりちゃんの、こういうワガママなところがボクは嫌いなんだ。
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