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空き巣
部屋の中に入るまでタクシーを降りて見守ってくれている林さんに、優菜は頭を下げた。
アパートのドアを開けた瞬間。
「ぎゃぁ!」
思わず叫び声を上げてしまった。
部屋の中が荒らされている。泥棒、空き巣だ。
私の声を聞いて急いでアパートの2階まで駆け上がってきた林さんが、部屋の惨状を見て腕を引いて優菜を自分の後ろに引っ張った。
私の声に驚いてか隣の住人がドアを開けて覗いてきた。
「うるさい!夜中なんだから静かにして」
私はすみませんと頭を下げた。
中に誰もいないことを確認して、いったん二人とも部屋に入った。
「警察呼ぶ前にあまりいろいろと触らない方がいいと思うから」
林さんは部屋の中を見て何があったのか察したらしい。
大丈夫?と林さんは私を気にかけてくれた。
「林さんすみません警察は呼ばないでください。盗まれる物なんて、うちにはありませんから」
スマホに手をかける林さんを急いで制した。
「駄目だよ。何も盗まれてなくても一応警察には言わなくちゃいけない」
林さんはしっかり目を見て優菜に言いきかせる。
「でも、通報しないでください……」
林さんは、なんでそんなに嫌がるんだと少し困ったような顔をした。
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