林さんと同居

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いっしょに暮らし始めて1ヶ月が過ぎようとしていた。 今日は林さんがノー残業デーの日だから早く帰ってくる。 優菜はウキウキしていた。ちょうど林さんの職場の近くまで来ていたので、もしかしたら会えるかもしれないと会社のビルの方へ歩いていった。 林さんびっくりするだろうなぁと考えながらウキウキした気分で歩いていた。 外で会う事はめったにないので嬉しかった。 ちょうど洋風の居酒屋さんの前を通ったとき、林さんが女の人と楽しそうに食事をしている姿を見付けてしまった。 思わず急いで電柱の後ろに隠れた。 とても綺麗な女性だった会社の人かもしれない。私に比べるとずっと大人っぽい女の人で、林さんと一緒にいる姿はとてもお似合いだった。 15分ほどずっと電柱の陰に隠れて、居酒屋の中を見ていた。スマートフォンの メール を確認したら、1時間も前に『今日、夕飯は食べて帰ります』という連絡が入っていた。 優菜は、とぼとぼと駅に向かって一人で引き返していった。 家に帰って夕食に準備していた食材を冷蔵庫に戻し、お風呂にお湯を張った急いで洋服を脱ぐとそのまま湯船に浸かった。 林さんはもしかしたら今日は帰らないかもしれないと思った。なぜだか自然に涙が出てきた。 林さんは私よりずっと大人で、さっきの綺麗な女の人みたいに、ちゃんと仕事を持っている自立した女性がお似合いだ。 夜の街で働くようなホームレス同然の子供を相手にするわけがない。 今日は仕事が早く終わるから、一緒にゆっくり食事ができるし、林さんも急いで帰ってきてくれるだろうと思っていた。 毎日林さんのワイシャツを洗って美味しいご飯を作って家で待っているのがとても幸せだった。一人で勝手にお嫁さんのような気分になっていた。自分が恥ずかしい。 わあわあと泣いた。シャワーの音でその声はかき消されていく。お風呂から出てスマホに、『今日は帰らない』というメールが入っているかもしれないと思うと怖かった。 優菜は、髪を乾かすと林さんのベッドに潜り込んでシーツに残っている彼の香りを思いっきり吸い込んだ。 そして、いつの間にか眠ってしまった。
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