司法書士の林さん

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今日は取引のある企業の社長に連れられて、キャバクラへやってきた。 昨年できたばかりの新しい店らしく、女の子も若くて可愛い子が多いと社長は自慢していた。 付き合いでこういう店へも来ることはあるが、必要以上にベタベタしてくるお嬢さん方に鼻の下を伸ばすおっさん達の姿を見ると、とたん寂しい気持ちになってしまう。 林は小一時間ほど付き合うが後は理由をつけてそれとなくフェードアウトしていくというのがいつものパターンだった。太い客を捕まえるぞというキャバ嬢達の営業トークに適当に頷きながら、向かいの席でヘルプについている女の子を見る。先ほどからあまり話さないが、どうも視線が僕へ向いているような気がする。 「えっと、マコちゃんだったかな?」 それとなく話しかける。奇麗に施された化粧の下からまだ幼そうな笑顔がのぞく。 「はい」 と笑顔で答える彼女に見覚えがあるような気がした。 「何処かであったかな……」 隣にくるように促して、僕の席へそれとなく誘導した。 「その節はお世話になりました。母の……」 彼女が周りには聞こえない程度の小声で僕の耳元で話した。 思い出した。確か2年ほど前だった……。
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