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林さんのベッドの上で優菜が顔を埋めシーツの匂いを嗅いでいる。この匂いを確かに知っている気がした。
林さんのたくましい腕に引き寄せられ、いつの間にか優菜は半裸にされていた。
「最初は君が僕を押し倒したんだよ……」
「うそ……っ……ちっ……違っ……っ」
耳たぶを軽く嚙まれる。
そんな恥ずかしい事するはずはないと思ったが、もう頭でしっかりと考える余裕がない。
口内に舌を這わす林さんの唾液が口の中に入り込み優菜の舌が跳ねる。
激しく吸い付いた唇は音を立てて優菜の舌を執拗に味わった。
恥ずかしすぎて悠理は目を開けられない。
彼の長い指が鎖骨から滑るように頂きに向かって下降する。
「これ、好きだったの覚えてない?」
意地悪い声が耳元でささやく。
……覚えている。優菜はあらゆる感覚を呼び覚ます。
『ああ、気持ちいい』
いつも気持ちよくしてくれた。それこそ気を失うくらい。
石鹸の香りに混じって林さんのアフターシェーブローションのいい香りが鼻腔をくすぐる。
そう、この香り、優菜は好きだった。
林さんは首すじにちゅうちゅうと印を付けると片手で優菜の体を強めにまさぐった。
涙が出てくる。確かに覚えている。なんでこんな大事な人を思い出せなかったんだろう。
恥ずかしい。ちゃんと話をしたかったのに、優菜は抱きしめられ林さんに身を任せた。
林さんは湿った熱い胸を優菜に押し付ける。
いつもこうだ、いつの間にか林さんのペースで進められてしまう。優菜の頭の中がふわふわしてくる。
そんなつもりはなかった。先ず順序だてて二人でいろいろ話し合わなければならないと思っていた。林さんの手が優菜の下着の中を確かめる。
けれどもう話し合う必要はなかった。
優菜はしっかり思い出していた。
愛する人を。
「何度も君をイかせた。僕は君の身体を隅々まで知り尽くしてる……好きだよ優菜……ずっと好きだった」
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