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「……驚いた。あの澪が義理の娘と本当に仲良くしてたなんて」 「最初は私だって抵抗がありましたよ」 父が突然連れてきた見知らぬ女性。しかも年齢だって父よりもずっと若く、恋人のようにも見えない。 「でも澪さんは友達みたいに接してくれたんです」 私が冷たい態度をとっても何度も話しかけてくれた。 うざいとか放っておいてとか、酷いこともたくさん言ってしまった。けれど、澪さんは笑いながら、『いいじゃん、話そうよ』なんてめげずに話しかけてきた。 私よりも大人なくせに子どもみたいで無邪気。それにすぐ怪我をするし、料理も下手だし、世話かがかかった。 そんな澪さんを放っておけなくなって、そうしているうちに次第に私も心を開くようになっていった。 その後、ふたりが結婚をするつもりだと話されて、かなり戸惑ったのを今でも鮮明に覚えている。だけど、それで私と澪さんとお父さんが家族になれるのなら、私は嬉しくもあった。 お父さんも私と澪さんが合わなければ、再婚をするつもりはなかったらしい。 友達のような時間を過ごし、家族という形になり、一緒に過ごすにつれて私にとって澪さんはいつのまにか大事な人になっていった。だからこそ、澪さんを傷つけたことの人のことを許せないと思ってしまう。 「貴方はなにを考えて私をこの家に連れてきたんですか」 家族をなくした私が可哀想だからという理由だけではない気がする。 「まあ、ちょっと気になったんだよね。澪がさ、どんな生活をしていたのか」 好奇心というものなのかはよくわからない。少なくともこの人は澪さんに酷い言葉を浴びせて、家から追い出した人だ。 相手に関心を持つのは好意からだけではなく、嫌悪も同じだ。嫌いな人ほど気になるということもあるため、彼の場合はそれなのかもしれない。 「……そんなこと今更知ってなにになるんですか」 もう澪さんは亡くなっているのに。 知ったところで、なにも伝えられないし、なにも答えてくれない。
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