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「残念でしたね。澪さんは幸せでしたよ」 笑ってみせると、新條清はどこか困ったように微笑んだ。 「それはよかったね」 どうしてこんな表情をするのかがわからない。悲しんでいるわけでもなく、心から喜んでいるようにも見えない。 ……澪さんはこんな人のどこが好きだったの。 「水原」 先生がいまだに少し困惑した様子で私のことを見つめる。 短かったけれど、恋人ごっこは終わりかなと私はひっそりと思った。たぶんもう、先生は私のことをどう扱えばいいのかわからないのだろう。 新條清だけではなく、先生も澪さんに対して嫌悪感があるのだと澪さん本人が言っていた。 先生の方は本当の家族のように思ってくれていたからこそ、血が繋がってはいないとはいえ兄と関係を持っていた澪さんのことを拒絶していたそうだ。 和解できずに家を出てきたと言っていたので、おそらくは今も澪さんに対しての感情は変わらないのだろう。だからこそ、私の心情を知っての困惑したはずだ。 私はなにも返す言葉もなく、グラスを持って台所へと向かった。
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