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「俺も言い過ぎてんのはわかってる。お前の気持ちとか俺自身ももっと考えるべきだろうし。……それはごめん」 言いたいことを言って、急に素直に謝られると私も反応に困る。 赤地くんは良くも悪くも素直な人なのだ。だからこそ、彼が私みたいなやつに引っかかってしまったのは申し訳なく思う。 「俺らの関係って端から見たら綺麗なもんじゃねーし、周りに言えるような仲じゃねーけど……でも」 赤地くんが立ち止まる。私もつられて立ち止まり、言葉の続きを待ってしまう。 「お前のこと心配なんだよ」 ああ、馬鹿だなこの人はとちょっと泣きそうになる。 最低な態度と言葉で突き放してくる私に、まだこんなふうに温かい言葉をくれる。 ごめん。こんなふうにしか関係を築くことができなくて、赤地くんの心を踏みにじり続けて、本当にごめんね。きっと彼は謝罪を受け入れてはくれないだろうけれど。 「俺だけじゃない。未弥も弥代も心配してる。お前の彼氏だってそうじゃねーの」 「……そう、かもしれない」 未弥や弥代ちゃんはきっと私のことを気にかけてくれていて、連絡をすればすぐに来てくれる。 先生は……どうだろう。でもわかるのは、私を突き放したりせずに気持ちを打ち明ければ真剣に向き合ってくれるはず。 それなら私はなにをこんなにも怖がっているのだろう。
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