566人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
「一応弥代ちゃんたちの家にいることは連絡しておく」
先生に今弥代ちゃんの家にいるから遅くなると短いメッセージを送った。
なにも言わずに遅くなってしまったあの時は違い、前もって連絡をしておけば問題はないはずだ。
「もしかして、小夜。彼氏とうまくいってないの?」
だから今日私たちの家に来たのかなってと、不安げに弥代ちゃんが聞いてくる。
「合わないとかそういうのではないんだけど……」
これもまた答えに困る話だった。
問題なのは私と先生の性格とかそういった部分ではないため、うまくいっていない理由というのがとても説明がしにくい。
「じゃあ、なんでだよ」
「だから、赤地は一旦黙った方がいいって」
未弥が赤地くんを止めてくれるけれど、納得がいかないと言った表情で赤地くんが腕を組んで睨んでくる。
「まあ確かに、赤地くんに言う必要なんてないよね。振られた男だし」
「おい、弥代」
「けど、私個人としては小夜が心配だから、私の部屋でふたりきりで話す?」
本当なら弥代ちゃんとふたり、もしくは未弥と三人の方がいいけれど、赤地くんは連絡してくれたこともあるし、おそらくこの人は自分が納得するまで引かない。そういう面倒な性格なのだ。
「ううん、大丈夫。ありがとう」
頭の中で問題を整理して、話せることだけを掻い摘んで説明をする。
私の義母と、彼氏の義姉である人物は、私にとっては大事な人だけど、彼氏にとっては確執がある人であったこと。
だからこそ、義母を追い出したその家の人たちを私は一方的に恨んでいた。それなのに私はその家の人と付き合いはじめてしまった。
そして昨夜私の隠していた感情を彼氏や家の人に知られてしまい、気まずいということを話した。
最初のコメントを投稿しよう!