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「自分にとって大事な人を彼氏が嫌いだからって、別れたいって思う? それともそれを受け止めて、これからも付き合っていきたいと思う?」 私はどうしたいのだろう。 先生と付き合ったのだって、両想いだからというわけではないのだから、本当ならここで綺麗に終わらせればいいだけの話だった。 それなのに終わらせたくなくて、必死に続けるための理由を——言い訳を探して、縋り付きたかったのかもしれない。 「……ちゃんと話してみる」 私が声を絞り出すようにして答えると、未弥が笑った。 「そうだね。それが一番いいよ。ちょうど迎えもきたみたいだし」 「え?」 未弥が立ち上がって、私の腕を少々強引に引っ張った。 そして「実は事前に連絡しておいた」とこっそりと耳打ちをされて、驚愕する。 ……やられた。未弥がまさか先生の連絡先を知っていたなんて。 「俺、余計なことした?」 にんまりと微笑まれて、軽く睨む。 先生と会いにくい。だけど会いたくて、複雑な感情が入り混じっている。それすらも見透かされているような気がした。 「は? 彼氏来てんの?」 「え、うそ!」 見る気満々で立ち上がる赤地くんと弥代ちゃんに困惑していると、未弥がふたりには絶対口外させないようにするから大丈夫だよと言ってくる。 信じていいものかと眉を寄せてしまう。先生の立場を考えると本当はあまり知られない方がいいはずだ。 「先生も了承してくれてるから」 「あ? 先生!?」 「ちょっと、待って。え、先生ってなに? どういうこと?」 なにかに気づいた様子の赤地くんが私よりも先に大股で玄関へと歩いていく。 もう先生と鉢合わせは避けることはできなさそうで、私は覚悟を決めるしかなかった。
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