41/48

566人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
◇ 翌朝、ひとりだったけれど前よりかは睡眠がとれた。 朝食の準備をしようと、台所へ向かうと居間で清さんがノートパソコンを開いて、なにやら作業をしていた。 「おはようございます。早いですね」 それほど仕事が忙しいのだろうか。 清さんも早く起きてきた私に少し驚いた様子だったけれど、すぐにパソコンを閉じた。 「急ぎの撮影が入っちゃってさ。朝早くから出ることになったんだ」 「朝食はどうしますか? なにか簡単に作りましょうか」 「もう出ないといけないから大丈夫。ありがとう」 ノートパソコンをケースに仕舞って、上着を羽織る清さんを私は黙って見守る。カメラマンという職業は呼ばれたらすぐに飛んでいくため、かなり忙しそうだ。 今後も朝早い日や夜遅い日があるため、なるべく連絡入れるようにするからと言われ連絡先を交換する。私もご飯の準備があるため、その方が有難い。 「私的な連絡はしないからって涼にも言っておくよ」 「はい?」 「嫉妬されても面倒だからさ」 妙な誤解をされているようだけど、私と先生の関係に気づいていたようだ。 さすがに昨日ふたりで帰ってきたから、気づかれるかもしれないとは思っていたけれど、一緒に住む以上はちょっと気まずい。 ……いやでも、気まずいのは清さんの方だよね。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

566人が本棚に入れています
本棚に追加