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◇
翌朝、ひとりだったけれど前よりかは睡眠がとれた。
朝食の準備をしようと、台所へ向かうと居間で清さんがノートパソコンを開いて、なにやら作業をしていた。
「おはようございます。早いですね」
それほど仕事が忙しいのだろうか。
清さんも早く起きてきた私に少し驚いた様子だったけれど、すぐにパソコンを閉じた。
「急ぎの撮影が入っちゃってさ。朝早くから出ることになったんだ」
「朝食はどうしますか? なにか簡単に作りましょうか」
「もう出ないといけないから大丈夫。ありがとう」
ノートパソコンをケースに仕舞って、上着を羽織る清さんを私は黙って見守る。カメラマンという職業は呼ばれたらすぐに飛んでいくため、かなり忙しそうだ。
今後も朝早い日や夜遅い日があるため、なるべく連絡入れるようにするからと言われ連絡先を交換する。私もご飯の準備があるため、その方が有難い。
「私的な連絡はしないからって涼にも言っておくよ」
「はい?」
「嫉妬されても面倒だからさ」
妙な誤解をされているようだけど、私と先生の関係に気づいていたようだ。
さすがに昨日ふたりで帰ってきたから、気づかれるかもしれないとは思っていたけれど、一緒に住む以上はちょっと気まずい。
……いやでも、気まずいのは清さんの方だよね。
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