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「年上のくせにこんな情けないやつだけど、傍にいて」 わかりやすく好きと告げられてはいないけれど、それでも先生の精一杯の想いが伝わってくる。 両手を広げる先生に私は躊躇うことなく、抱きついた。 大きくて温かくて、優しい腕に抱きしめられながら、私も背中に腕を回す。 「傍にいてあげる」 強がって偉そうに返す私に先生が笑ったのがわかった。 数年はデートができなくても、秘密の付き合いだとしても、私は先生と一緒にいれば幸せだ。 「澪は怒るかもな」 「そうかな? 喜んでくれるよ」 「だといいけど……」 澪さんならきっと弟と私の付き合いを大はしゃぎで笑って祝福してくれる気がする。 もしもダメって言われちゃったら、私が必死に説得すればいい。澪さんならきっと最後にはわかってくれるよ。 「澪の大事な家族を幸せにするから認めてほしい」 先生がまるで澪さんに話しかけるように、言葉を口にした。 〝いーよ〟 どこかで澪さんの声が聞こえた気がした。 きっとそんなの都合のいい空耳で、澪さんの声なんて聞こえるはずもないのに。 どうやら先生にも聞こえた気がしたらしく、私たちは顔を見合わせて笑った。
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