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番外編
「せんせい、今日なにしてた?」
清さんが仕事でいない日の夜は、私は先生と眠る決まりになっている。
隣の布団にいる先生に問いかけてみると、怪訝そうな顔で「いつもどおり学校で仕事してたけど」と答えた。
「ふーん。……そっか」
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「なんとなく」
私の答えが嘘だとわかっている様子の先生が、強引に私の方の布団へ入ってくる。
「ちょっと、狭いってば」
押しのけてみても、力の差がありすぎて微動だにしない。
「じゃあ、理由話して」
「理由って、」
「なんとなく以外のやつな」
たぶん先生は私が理由を言うまでは、自分の布団へ戻ってくれないだろう。
観念して言うしか道はなさそうなので、掛け布団の中に潜りながら思っていたことを口にする。
「……女の人の香水の匂いがしたから」
だからもしかしたら仕事以外で女の人と会ってたのかなとか疑ってしまったのだ。
「は? 香水?」
「……帰ってきたときした」
「香水って……あーもしかしたら生徒から没収したやつか」
先生によると女子生徒が学校に持ってきた香水瓶を没収したそうだ。そしてそれを帰りに本人に返したときに、ふざけてかけられたらしい。
「ふーん……相変わらず女子に人気ありそうだね」
「まあ、あるとは思うけど」
「うわ、自覚あるんだ!」
私が中学生の頃も先生は女子から好かれていたし、本気で想いを寄せている子も多かった。先生が教師という職業をしている以上は、今後もきっと女子たちに好かれていくのだろう。
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