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先ずはトイレの扉を開け耳を澄ます。
「此処じゃないなー」
続いて洗面所の電気を点け一歩踏み込むと、まだ聴覚が完全に覚醒していなくても、奥からはっきりと聴こえた。
ぴちゃ
ぴちゃ
琴美はシャワーのレバーが甘かったと思い勢いよく扉を開けた。
浴室の窓から月明かりが入ってくるが洗面所の明かりだけでは薄暗く、浴室の電気も点ける。
シャワーのレバーをしっかり閉めて水滴の音の方へ視線を下げた。
「ひぃっ!………ぎゃあああああー」
琴美は叫び声と同時に膝から崩れるように座り込んだ。
両手を口元に当て、大きく見開いた目が一点を見つめ動きが止まった。
そこには洗面器にちゃぷちゃぷと、まるで浴槽に浸かっているかのように寛ぐ二体の人形だった………。
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