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『琴ちゃん、お久しぶり』
『元気そうだな、琴』
「わあー!しゃしゃ喋ったっー!な、何でー」
琴美は一刻も早くそこから逃げ出したかったが、腰が抜けていて立つことすら出来ないでいた。
信じられない光景に、これは夢なんだと言い聞かせ大きく深呼吸をしてぎゅっと目を瞑った。
暫くそのままで、気が動転していて心臓の波打ちが落ち着くまで待った。
しかし、静まり返った浴室からはちゃぷちゃぷと水の音が聴こえていた。
ぴちゃん
「ひぃっ!」
琴美の顔に水滴が飛んできた。両手で顔を隠し指の間からそっと見ると二体の人形が琴美を見上げていた。
『琴ちゃん、十年振りに再開したのに冷たいのね…』
『喜んで迎えてくれると思ったのに残念だな』
琴美はかっと目を見開き突然意識が遠退き洗面所の壁に凭れ気を失った。
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