屋台戦争

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 夏祭り初日、俺の屋台戦争が始まった。順調に売上を伸ばして俺は余裕だと思っていた。そもそも他にキャラクターのペンダントを欲しがる人がいるだろうか。  お祭りが終わって、屋台の後片付けをしている時に、たこ焼き屋の店主の斎藤(さいとう)さんに声をかけられた。 「木島(きじま)さん、頑張ってるね」 「斎藤さんじゃないか。お疲れ様!」 「聞いてるかい、ペンダントの話」 「知っているよ。俺はあれを目指して頑張っているんだ」  斎藤さんがヒヒヒと不敵な笑い声を上げた。 「じゃあ、ライバルだね。俺はあのアニメのファンでね。どうしても欲しいんだ」  屋台でたこ焼きを食べる人は多い、これは強力なライバル出現だと思った。でも、斎藤さんには悪いが、俺はどうしても勝ちたいと思った。  売上は毎日、メールで報告することになっていた。メールを送ってしばらくすると、順位が書かれたメールが送られてきた。緊張の面持ちで眺めると、俺の屋台が一位だった。拳を強く握り、喜びを噛み締めた。  夏祭り二日目の朝、俺は今日も張り切っていた。昨日と同じく直売所に行って新鮮なイカ、豚肉、もやし、キャベツを購入した。  佳乃には言ってないが、今までと同じ値段でずっとおいしいものを提供しようとすると、どうしても赤字になる。佳乃にこのことを話すと怒られそうなので俺の心の中だけの秘密だ。  お祭りが始まると佳乃が威勢よく声をかけて、お客さんはたくさん集まってくれた。俺は次々に焼きそばを焼いて、客を捌いて行った。
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