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二日目は初日よりもずっと人が多くてぐったりと疲れた。お祭りが終わると佳乃が俺に声をかけた。
「翔ちゃん、今年の四角川祭りは気合いが入ってるね」
「そ、そうかな、元気がいいことは悪いことじゃないだろ」
「去年も手伝ったけど、去年よりもっと燃えてるって感じがするよ!」
「あ、うん。売上が大事だからね。さてと、もうちょっと片付けしたら、今日は終わろう」
俺はごまかすのが下手でバレたかなとヒヤヒヤしていたけど、佳乃は笑顔で笑っているだけだった。俺は良かったと胸を撫で下ろした。
昨日と同じくメールを送って返信を待った。昨日よりも売上が上がっていたので、俺は大丈夫だと思っていた。
しかし、結果は斎藤さんのたこ焼き屋に敗れて二位だった。俺は焦燥に駆られた。このままではまずい、策を打たなければ。
お祭りが終わって静かな広場で悩んでいる時に、斎藤さんに会った。
「斎藤さん、ちょっと聞きたいことがある」
「木島さんじゃないか、売上の件かい?」
「その通り。どうして売上が伸びたんだい?」
斎藤さんは答えるのを渋っていたけど、おもむろに口を開いた。
「木島さんの所が大きなイカを使ったように、うちも大きなタコを使ったんだ。それに、材料も工程も一から練り直したんだ」
「そうだったのか……俺も頑張ってみる。明日は勝負だな」
その日の深夜、俺はソースがおいしくなるように醤油、ウスターソース、オイスターソース、塩胡椒を何度も何度も混ぜ合わせて、自分の麺に合ったものを作り上げた。
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