キョーダノイドZ

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暴力。理不尽。嫌がらせ。ひやかし。からかい。仲間外れ。変なあだ名。 二十一世紀の半ばを過ぎた現代でも、あらゆる種類のイジメは猛威を振るい、僕たちの日常から決して無くならない。 ガキ大将のあいつに我慢がならない。 なんとかしたい。なんとかしたいんだ。でも、自力では無理なんだ。笑わば笑え。どうせ僕は弱虫さ。だから僕は――。 飛田(とんだ)マモルは藁にもすがる思いで携帯電話を取り出し、万能オンラインショップ〈オールマイティー2060年度版〉にアクセスした。 〈心細いあなたに頼もしい兄貴(アニキ)を。癒されたいあなたにひょうきんな舎弟(シャテイ)を〉 アニキ型キョーダノイド(ゼット)ハード。 シャテイ型キョーダノイドYコメディ。 田舎のおじいさん型、おばあさん型、遠くに住んでいて年二回しか会えない従兄弟型などなど、ロボットの種類は色々あるらしい。 どのタイプのキョーダノイドを選ぶにしても、その代金は半年以上も前にもらったお年玉の残りで支払える額――小学生でも無理無く支払える額である。 どうしよう。購入すべきか。それともやめるべきか。この期に及んでもまだマモルは踏ん切りがつかない。うーん、うーん、迷うなあ。 開発者のコメントが記してあった。 ――人間と人間が、ロボットとロボットが、そして人間とロボットが、互いに理解しあって共に生きてゆける社会を目指します―― そんな開発者のコメントに、マモルは心のど真ん中を真っ直ぐ貫かれてしまった。 もう迷ってなどいられない。 お願い、アニキ型キョーダノイドZハード。僕を助けてよ! マモルは神頼みにも似た思いでアニキ型キョーダノイドZハードを選び、購入ボタンを押したのであった。
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