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キョーダノイドZハードは宅配ドローンロボによって、その日のうちにマモルの自宅二階の勉強部屋へ届けられた。
「やあ、待ってたよ」
「マイドアリガトウゴザイマス……」
ドローンロボが勉強部屋の窓から飛んで去ってゆくのをマモルは暫し見守った。
さあ、いよいよ開封だ。
まるで棺桶のように大きな段ボール箱をワクワクしながら開けた。
箱の中で永い眠りについていたアニキ型キョーダノイドZハードが目を覚ました。銀色に光り輝くロボットはむくりと上体を起こし、マモルをギラギラした眼差しで睨み据えた。
「おまえがマモルか」
「そうだよ、僕がマモルだよ」
「今日からおまえのアニキとなったキョーダノイドZハードだ。よろしくな」
「ねえ、聞いてよ。ガキ大将の五所川原ダンにイジメられて困ってるんだ。アニキ、助けてよ。ねえったら!」
「こら! 弟のくせにうるさいぞ!」
「ごめん、アニキ」
キョーダノイドZハードの予期せぬ凄い剣幕に、マモルは怯えながら項垂れた。
キョーダノイドZハードは「ふふん」と鼻で笑いながら、凄まじい跳躍力を駆使して箱から飛び出し、マモルの真正面に胡座をかいて座った。
「おまえがガキ大将とやらにイジメられるのも、至極もっともな話だな」
「え? アニキ、それどういうこと?」
「おまえには気迫が欠けている。怒鳴られて簡単にしゅんとなって項垂れてどうするんだ。俺がおまえなら、いきなり怒鳴るなと言い返してやるところだ。周りに理不尽なことをされて簡単に引き下がるな」
「僕だって理屈ではわかってるんだ。でも僕は小さい頃からずっとこうなんだ」
「まあ、確かに生まれながらの性格はそう簡単には直せないか。まあいいだろう。俺がアニキとして弟のおまえに手本をみせてやる。さっそく空き地へ行くぞ」
空き地には、きっといつものようにガキ大将の五所川原ダンがいる。
「空き地へ行くのは気が進まないなあ」
「ばかやろ。アニキがついてるから安心しろ。さあ行くぞマモル」
キョーダノイドZハードに促され、マモルは気が進まないながらも空き地へ向かったのであった。
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