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それは突然の出来事だった。その一瞬で私の生きる意味すべてが失われてしまったのだ。もう彼の声は聴けないし、彼の神々しい姿を拝むことはできないだろう。
単独の私怨による犯行がまさかこんな結末をもたらすとは。直接は関係のない私たちの崇拝をも歪めてしまうとは。今さら犯人を恨むとかそういう気持ちはないのだけれど、だからと言って犯人にシンパシーを感じている人々には辟易してしまっている。
ストックホルム症候群ならまだわかるが、独りよがりな主義主張を無理矢理この事件と結びつけてすべての憎しものを弾圧しようという動きは、犯人になりうる可能性のある予備軍を救うどころか、更なる憎悪へと導くだろう。
ただ単に、同じものが好きな人同士で寄り集まって、同じものをより深く愛し合い、同じものに依り生き続ける。ただそれだけなのに。
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