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踵を返して部屋を出て行く主君のすぐ後ろを歩く。振り返った彼が、「例の魔術師関連のものは抜いておけ」と手のひらをこちらに向け、おれはふとゲートから差し出された手を思い出した。
「何を笑っている、ランド」
「いえ、反射的にお手をしそうになったので」
クッと、彼はあの頃と変わらない笑い声を漏らす。本当に「お手」をしてやろうかとおれは考えながら、あの時よりもひと回り大きくなった主君の手に紙の束を手渡した。
【奴隷商から逃げた獣人が花街を逃走中の皇太子と出会った件について】
――完――
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