ウィリアムズ男爵家の隻腕令嬢

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弟たちの態度が変わったのは彼らが六歳、わたしが九歳のときだ。魔力測定で二人が中級魔術師レベルの魔力値を出し、その瞬間からわたしを見下すようになった。 わたしは六歳から毎年魔力測定をしているけれど計測器は一切反応せず、双子との差を見せつけられた九歳の測定を最後に計るのをやめた。ウィリアムズ家に生まれていなかったなら、魔力がないことで劣等感を抱く必要もなかったのに。 ウィリアムズ家は帝国唯一の魔術家門。それを知るのはグブリア皇家とクラウス侯爵、魔塔だけだ。 通常、グブリア帝国では十二才になると魔力測定が行われ、一定以上の魔力を持つ者は家を離れて魔塔で働くことになる。一般の帝国民が魔術師と関わることはないし、魔術を目にする機会もない。その中でウィリアムズ家だけが例外だった。 「シャーロット様、ご準備ができました」 ソフィアはドレスの仕上がりに満足そうにうなずき、チャーリー先生も「完璧ですね」とソフィアの腕を称える。チャーリー先生はウィリアムズ家の家庭教師であり、魔塔から派遣された監視役だ。
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