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「形だけでも出席しなさい」
父はそう言って居心地悪いだけの宴に娘を連れて来ながら、本家のクラウス侯爵家にはわたしを紹介しなかった。去年も一昨年も、わたしは両親と双子がクラウス侯爵家の人々と話しているのを壁際でながめていた。
「チャーリー先生。このまま何もしなければ、わたしは一生離れに閉じ込められて一人寂しく死ぬんでしょうね」
「シャーロット様、急にどうされたんですか?」
ソフィアが心配そうにわたしの顔をのぞき込んだ。
遠戚のソフィアはウィリアムズ家の魔術師の一人。無能の侍女を押し付けられているのだからおそらく何かやらかしたのだろう。
「シャーロット様、考え過ぎはよくありません」
チャーリー先生はわたしの頭をなでようとし、それをソフィアに阻まれた。
「チャーリー、せっかく綺麗に整えたのだから台無しにしないでください」
家族じみたやりとりは「うまくいっている」ふりをしているだけだ。本当はとっくの昔に壊れている。
「ねえ、二人はわたしとウィリアムズ男爵家のどちらか選ばなければいけないとしたらどっちを選ぶ?」
唐突な質問に二人とも顔を強張らせた。
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