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若草色のレースと造花で彩られた花束のような左肩のデザインはわたしが仕立て屋に注文をつけたものだ。ウィリアムズ家の娘が左腕を失くしたという噂はとっくの昔に広まっているし、どうせ注目されるのならない腕よりドレスを見られていると思った方がいい。
主会場である大広間に通されても、わたしの左腕は注目の的だった。両親は他人のような顔をしてわたしとは目も合わさず、分家の人たちと儀礼的な挨拶を交わしている。冷たい家族だと思うけれど、会場で陰口を叩かれているのはわたしだけでなく両親も双子も同じだった。
本家であるクラウス侯爵家に、ウィリアムズ家を含めた十数もの分家が一堂に会す迎春の宴。クラウス侯爵家に媚びは売ってもウィリアムズ男爵家に媚びを売ろうとする者はまったくいなかった。
「クラウス侯爵家の寄生虫」
「金食い虫」
〝クラウス侯爵家の寄生虫〟という分家が我が家に向ける陰口は、ウィリアムズ家が何もせずクラウス家の施しで贅沢をしていると思い込んでいるせいだ。
「何の力もないくせに生意気なんだよな」
「こっそりやっつけてやろうぜ」
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