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ウィリアムズがウィリアムズを「寄生虫」と呼んだことに周りにいた大人たちがギョッとしていた。双子はその反応を見て肩を揺らしている。
「シャーロット」
母の声がしたけれどわたしは無視して人だかりの方へと向かう。
両親も双子も魔術師なのだからわたしを足止めするくらい簡単なはずなのに、壁際で従者のフリをしているチャーリー先生の監視の目があるから何もできないでいる。
「シャーロット」
人だかりが割れて金髪の青年がわたしに微笑みかけた。彼こそ氷壁の小侯爵と呼ばれるザカリー・クラウス。
「笑わない貴公子」とも言われる彼の微笑に、女性たちだけでなく周りの大人も、彼の父親であるクラウス侯爵さえも驚きを隠せないようだった。その様子に胸がすく。
自分に魔力がないと知って十年、軟禁生活は二年半あまり、片腕を失ってから八か月。ウィリアムズ家の呪縛から逃れられるなら、片腕のカーテシーも好奇の目も些細なことだ。
わたしは氷壁の小侯爵に斬られたこの左腕に感謝しないといけない。あれは八か月前、去年の夏の十六才の誕生日のこと――。
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