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「どういうことだ、シャーロット!」
父の手がわたしの腕を掴もうとし、そこに腕がないことに気づいてウロウロとさまよった。
左腕を失くしてから「テーブルでのかしこまった食事は無理だろう」という理由で本邸には一度も招かれていない。父と顔を合わせたのは治癒院からウィリアムズ家に戻った際に挨拶をしただけで、「戻りました」「そうか」の二言で終わった。その時も父は頑なにわたしの左腕から目をそらし、本邸の奥の方から「見たいよ」と言う双子の声と、「だめよ」と言う母の声が聞こえていた。
「お父様、わたくし去年の夏に左腕を失ってしまいました。報告が遅くなってしまい申し訳ありません」
「なっ……、何を言ってるんだシャーロット。タイリィスの治癒院でのことはチャーリーから報告を受けている」
不意にザカリーがわたしの右手をとり、手の甲にキスをした。
「父上、シャーロットとはわたしの幼馴染であるクレイグの治癒院で出会いました。わたしの一目惚れと言ったら信じていただけるでしょうか」
「信じないわ」と言いきったのはエルゼ。
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