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「それで、シャーロット嬢はどの程度知っているのだ?」
タイミングを見計らったようにドアがノックされ、緊張の面持ちでチャーリー先生が部屋に入って来た。両手には数冊のノートが抱えられている。
「シャーロットの学習内容についてはチャーリー先生に答えていただきます」
目配せし合うザカリーとチャーリー先生。二人が事前に打ち合わせをしていたのは明らかだ。
「チャーリー」
父がチャーリー先生を睨みつけ、その父をクラウス侯爵様が睨んだ。チャーリー先生はノートを抱えたまま侯爵様に頭を下げ、「チャールズと申します」と名乗る。
「わたしは魔塔からウィリアムズ家に派遣され、シャーロット様が五歳の時から魔術の家庭教師を務めてきました。ここにシャーロット様の授業記録と、参考までに弟君であるアラン様、ミラン様の授業記録があります。確認いただければ分かりますが、わたしがシャーロット様に魔術公式を教えたことはありません」
「魔術の家庭教師なのにか?」
問い返す侯爵様の声は懐疑的だ。
「はい。弟君の記録と比較していただければ一目瞭然ですが、シャーロット様の授業には魔術演習がありません」
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