春の宴と緑士の末路

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父とわたしにとっては青天の霹靂だった。魔塔所属のチャーリー先生は知っていたようで、侯爵様も思い当たるふしがあったらしい。 「無駄な爵位を整理すべきと陛下がおっしゃられていたのは緑士家のことだったか」 とため息を漏らす。その後に続いたザカリーの話も、緑士廃止と同じくらい衝撃的だった。 「ウィリアムズ緑士家の始祖は戦争の英雄ハリー・クラウスの三男テオ・ウィリアムズとされていますが、ウィリアムズ家の魔術師として世界樹跡地に結界を張り、遺物の保存に努めたのはイブナリア王国の魔術師たちだったということです。ご自身もイブナリアの魔術師だった魔塔主様が、仲間の魔術師をイブナリアの地に留めるため考え出した苦肉の策が〝緑士〟だったとか」 「では、始祖テオ・ウィリアムズは魔術師ではなかったのか?」 侯爵様の問いに「いえ」とザカリーが首を振る。
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