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「お父様、ミランは魔塔に入りたがっているのですから、緑士の廃止を待たずともすぐ魔塔に入れてあげてはどうでしょう? あの子の好奇心が死んでしまう前に」
「シャーロットは優しいな」とザカリーが言う。
父への皮肉しか込められていない言葉なのに、ザカリーは本気でそう思っているようだった。
「優しいのはザカリー様です。わたしのために魔塔主様までこき使って」
「つまり優しいのは魔塔主様ということか」
ザカリーがわたしの左肩に触れた。その意味はわたしたち二人だけの秘密だ。左腕を治癒したのはクレイグで、ザカリーとはタイリィスの治癒院で初めて出会ったことになっているのだから。
そのあと父は部屋から追い出され、わたしとザカリーと侯爵様の三人が残った。ザカリーがウィリアムズ家でのわたしの状況を説明すると、結婚も婚約もしていないにも関わらず当夜からクラウス邸に部屋を与えられることに決まったのだった。
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