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「シャーロット様に挨拶もせずいなくなるはずがありません。化粧が崩れてしまったから少し外の空気を吸いに出てきただけです」
「外に出てさらに化粧が崩れてしまったようですが」
「チャーリー、余計なこと言わないで」
こぶしを振り上げるソフィアに呆気にとられていると、二人はそんなわたしに気づいて姿勢を改めた。そして二人揃って頭を下げる。
「婚約者候補になられたこと、お慶び申し上げます」
「シャーロット様、幸せになってください」
「ありがとう、二人とも」
チャーリー先生は頭をあげたのにソフィアはいつまで頭を下げているのだろうと思っていたらズズッと鼻をすする音がした。ソフィアはそのまましゃがみ込んでポロポロと涙をこぼし始める。
「シャーロット様、嬉しいけど寂しいです。わたしもウィリアムズ家から出るので待っててください」
「ウィリアムズ家を出るって、チャーリー先生みたいになるってこと?」
年上のソフィアがコクリと子どもみたいにうなずく。
「そうすればシャーロット様に会えるって、チャーリーが」
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