約束を果たすための別の理由

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チャーリー先生のように魔塔所属となれば移動が制限されてクラウス領に戻るのも難しくなるはず。わたしが視線で問いかけると、チャーリー先生はバツが悪そうにポリポリと首をかいた。そして周りで聞き耳を立てる人たちに聞かれないようボソッとつぶやく。 「支部に配属されればクラウス侯爵家に出入りすることもあると思って」 わたしがクラウス家に嫁ぐことも確定していない上に、緑士家に代わって魔塔支部ができるかどうかもまだ定かではないのに。ソフィアを慰めようとして言ったにしても不確定要素が多すぎる。呆れてため息を漏らすと、チャーリー先生はまた首をかいた。 「ソフィアさんはずっとシャーロット様を探していたんです。シャーロット様がいなくなったあと、絶対氷壁に向かったはずだと言って男爵様に隠れて毎日森の中を」 ピィーュと鳥の鳴き声が聞こえて空を仰ぐと、ツーッと涙が頬を伝って落ちた。ノスリがくるくるとわたしの上空を旋回している。 「シャーロット」 「ザク」
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