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返事をした途端に扉が開いてザカリーが部屋の中に滑り込んで来る。夜着だったわたしは咄嗟に背を向け、窓に映ったザカリーの金髪が目に入った。
「すまん。こんな時間に来るのは非常識だが」
「いえ」
わたしは顔だけ彼の方に向ける。袖口にレースが使われたシャツは宴のときの着ていたものだ。宴のあと男たちは別室に集まって酒を飲んでいたようだが、赤みのない顔は少しも酔っているように見えない。
「シャーロットのおかげで計画が順調に進んでいる」
「わたしは何もしていません。魔塔主様とのやりとりも、チャーリー先生のことも、すべてザカリー様がしたことでしょう? わたしはただ宴に顔を出しただけです」
ザカリーはわたしのすぐ後ろまで来ると、椅子にかけていた薄手のストールを手に取りわたしの肩にかけた。布越しに肩から下へ向かって手を這わせ、彼の指先がわたしの左の乳房をかすめる。
「ザカリー様、わたしの体をお望みでしたら拒むつもりはありません。ウィリアムズ家から出たいというわたしの望みを叶えて下さったのですから、わたしもちゃんと応えるつもりです」
「わたしの望みが銀色のオーラを持つ後継者だからか?」
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