ラナ園のお茶会

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リアーナ様の言葉で一度おさまった怒りが再燃した。立場的にも身分的にも会話に割って入る資格はおれにはない。だが、 「ご令嬢たちはなぜリアーナ様をラナ園(ここ)に?」 資格もなく口を出したおれに、アルヘンソ姉妹は顔を見合わせて笑った。 「デ・マン卿はラナ茶をご存知のようね。でも、わたしたちも悪気があってリアーナ様をここに招いたわけではないのです。アルヘンソ家の優秀な治癒師が、ラナの服用はむしろリアーナ様のお体に良いだろうと」 「魔塔主様が治癒にあたっているのに、無関係の治癒師がなぜ口を出すのです」 麻薬に手を出したリアーナ様が世間から指をさされることなくこうして静かに過ごしていられるのは、皇家がその事実を隠蔽したからだ。その一端を魔塔主様が担っている。 リアーナ様の麻薬使用が皇太子殿下に知られたのとほぼ同時に、帝都では麻薬の違法製造販売を行っていたローナンド侯爵が捕まり、貴族だけでなく平民街をも巻き込んで大騒ぎになった。ローナンド家の悪行に注目が集まる中、リアーナ様に関する証拠は皇太子殿下の手で隠蔽され、リアーナ様はひっそりと皇宮を後にしたのだ。
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