ラナ園のお茶会

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公にされたのはリアーナ様の体調が優れず気候の良い南部の皇家直轄領に静養に向かうということ。馬車は偽装され、色白の痩せた女性が偽物のリアーナ様として馬車に乗って皇宮を出立。リアーナ様とおれとスサンナは〝ゲート〟という魔塔主様の魔術でアルヘンソ辺境伯領内の皇家直轄領に一瞬でたどり着いた。 「デ・マン卿も魔塔主様の力を借りて皇家の南部別荘で過ごされているのですから、世の中にいかに秘密と例外が多いかはご存じでしょう?」 「……世の中にというより」 皇家に、と言いたいところだが、あからさまに皇室を批判するような発言をしてはこちらが不利になるだけだ。 「皇室も魔塔も秘密だらけですよ。わが家門も負けず劣らずと言ったところですが」 あっけらかんと言ってのけたタミア様におれは驚愕の眼差しを向けた。 アルヘンソ辺境家は他の貴族と違ってほぼ自治に近い権利が認められた特別な家門だということは知っていたが、実際にアルヘンソ家の人間と話していると自分がおかしいのか相手がおかしいのか分からなくなることがある。はっきりしているのは、アルヘンソ辺境伯領の文化や考え方は帝国の他地域とかなり異なるということだ。
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